源泉徴収とは?事業者が知っておくべき基本ポイント

源泉徴収とは、給与や報酬を支払う側が、所得税をあらかじめ差し引いて国に納める制度です。
会社や個人事業主にとっては、「税金を預かって納める役割」を担う重要な仕組みです。

① 源泉徴収の対象となる主な支払

源泉徴収が必要となる代表的な支払には、次のようなものがあります。

  • 給与・賞与
  • 退職金
  • 税理士・弁護士・原稿料などの報酬
  • 講演料、デザイン料 など

「外注だから大丈夫」「個人への支払いだから不要」とは限らない点が注意点です。

② 源泉徴収した税金の納付期限

源泉徴収した所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納付します。

ただし、給与の支給人員が少ない事業者については、
**年2回まとめて納付できる特例(納期の特例)**もあります。

③ 年末調整は「会社が行う所得税の精算」

会社員などの給与所得者については、
毎月の源泉徴収はあくまで「仮計算」です。

そのため、年末に

  • 扶養の状況
  • 生命保険料控除
  • 配偶者控除

などを反映させて、1年分の所得税を精算するのが年末調整です。

年末調整を行うことで、原則として会社員は確定申告が不要になります。

④ 扶養控除等申告書の提出が重要

給与を受ける人は、会社に
**「扶養控除等(異動)申告書」**を提出する必要があります。

この提出がない場合、

  • 税額が高くなる
  • 年末調整ができない

といった不利益が生じます。

⑤ 源泉徴収は「うっかりミス」が多い分野

源泉徴収は、

  • 対象かどうかの判断ミス
  • 税率の誤り
  • 納付期限の失念

などが起こりやすく、税務調査でも指摘されやすい分野です。

特に、外注費・報酬の支払いについては注意が必要です。


まとめ

源泉徴収は、
**「税金を納める制度」であると同時に、「事業者の義務」**でもあります。

  • 誰に
  • 何を支払い
  • 源泉徴収が必要か

を正しく理解しておくことが、トラブル防止につながります。

不安がある場合は、早めに税理士へ相談することをおすすめします。


※本記事は、国税庁「源泉徴収のしかた(令和8年版)」をもとに作成しています