国税庁が公表した「税務調査の最新動向」から読み取れるポイント

国税庁は、令和6事務年度(令和5年7月~令和6年6月)における所得税・消費税の税務調査等の状況を公表しました。
この資料からは、近年の税務調査の重点分野や傾向がはっきりと見えてきます調査。

① 所得税・消費税ともに「調査件数・追徴税額」は高水準

所得税、消費税いずれについても、実地調査・簡易な接触を含めた調査が幅広く行われており、
申告漏れに対する追徴税額も引き続き高い水準となっています。

特に、1件あたりの申告漏れ所得金額や追徴税額は増加傾向にあり、
「少額だから見逃される」という時代ではなくなっています。

② 富裕層・海外取引・ネット取引への調査が強化

今回の資料で目立つのは、次の分野への重点的な調査です。

  • 富裕層に対する調査
  • 海外投資・海外資産を有する個人
  • インターネット取引・暗号資産(仮想通貨)
  • シェアリングエコノミー(フリマ・配信・仲介収入など)

これらの分野では、
1件あたりの申告漏れ金額が非常に大きく、重点調査の対象となっています。

③ 「無申告」への対応がより厳格に

申告そのものを行っていない、いわゆる無申告者に対する調査も積極的に行われています。

資料では、

  • 無申告事案については
  • 収集した資料情報をもとに
  • 実地調査を行い、確実に課税する

という姿勢が明確に示されています。

④ 事例から分かる「実際に指摘されたケース」

調査事例として、次のようなケースが紹介されています。

  • 海外不動産の賃貸収入を申告していなかった事例
  • ゲーム機やスマートフォンの転売収入を無申告としていた事例
  • キャバクラ等を実質的に経営していたにもかかわらず無申告だった事例
  • 相続により取得した金地金の売却益を申告していなかった事例

いずれも、「知らなかった」「申告が必要だと思わなかった」では済まされない内容です。

⑤ 税務調査は「情報収集力」が大きく進化

国税庁は、金融機関情報、海外情報、取引データなどを活用し、
申告内容と実態の差を把握する体制を強化しています。

特に、

  • 海外取引
  • インターネット上の取引
  • 資産の売却や換金

については、把握精度が年々高まっています。


まとめ

今回の公表資料から分かるのは、
**「調査は確実に来るところには来る」**という現実です。

  • 富裕層
  • 海外資産・暗号資産
  • ネット副業・転売
  • 無申告

これらに心当たりがある場合は、
早めの確認・修正申告・専門家への相談が重要になります。


※本記事は、国税庁「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」をもとに作成しています