遺族が受け取る「個人年金」は相続税?贈与税?所得税?
交通事故や病気などで、個人年金の受取人が亡くなったとき、遺族が年金を引き継いで受け取る場合の税金は、実はケースによって変わります。
1.まず知っておきたい結論
遺族が受け取る年金にかかる税金は、
保険料を誰が払っていたかで決まります。
●ケースごとの課税区分(超シンプル表)
| 被保険者(亡くなった方) | 保険料負担者 | 年金受給権をもらう人 | かかる税金 |
|---|---|---|---|
| A | A | B | 相続税 |
| A | B | C | 贈与税 |
2.相続税になるケース
●ポイント
亡くなった方自身が保険料を払っていた場合は
→ 遺族が取得する「年金受給権」は 相続財産 とみなされます。
✔具体例
・夫が保険料を払い続けていた
・夫が死亡 → 妻が年金を受け取る
→ 妻は相続税の対象
3.贈与税になるケース
●ポイント
亡くなった方が保険料を払っていなかった場合は
→ 遺族が取得する「年金受給権」は 贈与 とみなされます。
✔具体例
・夫の親が保険料を払っていた
・夫が死亡 → 妻が年金を受け取る
→ 妻は贈与税の対象
4.年金を受け取った後の「所得税」
遺族が実際に年金を毎年受け取るときには、
所得税も関係してきます。
●計算の仕組み
年金の金額は
- 非課税部分
- 課税部分(“年金受給権に相当する部分”+“それ以外の部分”)
に分けて所得税を計算します。
※相続税・贈与税が実際にかかっていなくても同じ計算。
5.源泉徴収のしくみ
年金が支払われるたびに、次の式で所得税が源泉徴収されます。
(年金額 − その年金に対応する払込保険料) × 10.21%
●源泉徴収されないケース
- 年金額 − 対応保険料の差額が 25万円未満
- 平成25年以降、一部の「契約者と受取人が異なる契約」では源泉徴収なし
6.復興特別所得税も対象
令和19年(2037年)12月31日までに支払われる年金には
復興特別所得税もあわせて源泉徴収されます。
まとめ:迷ったら「保険料を誰が払っていたか」から確認
遺族が受け取る個人年金は、
- 年金受給権を取得した時点の税金(相続税or贈与税)
- 年金を受け取る時点の税金(所得税+復興特別所得税)
の両方が関わってきます。
まずは
「保険料を負担していたのは誰?」
ここが最重要ポイントです。

