【離婚と税金】財産分与で贈与税・譲渡所得税がかかる場合とは?
離婚に伴って財産を分け合う「財産分与」。
一般的には贈与税などの税金がかからないケースが多いのですが、例外もあります。
また、土地や建物といった不動産を分ける場合には、譲渡所得課税が生じることもあります。
今回は、国税庁のタックスアンサーをもとに、離婚と税金の関係をわかりやすく整理します。
1.財産分与に贈与税はかかるの?
■ 原則:贈与税は非課税
離婚時に財産分与として財産を受け取っても、通常は贈与税はかかりません。
なぜならこれは、夫婦の共有財産の清算や、離婚後の生活保障を目的とする「財産分与請求権」に基づくものとされているからです。
■ 例外:贈与税がかかるケース
以下のような場合は、贈与税の課税対象になります。
- ① 分与額が多すぎる場合
夫婦で築いた財産額などと比べて過大な財産分与が行われた場合、その「多すぎる部分」に贈与税がかかります。 - ② 離婚が税回避目的と認められる場合
相続税や贈与税を避けるためだけに離婚したと見なされる場合、財産分与のすべてに贈与税がかかることになります。
🔍 根拠法令:所得税基本通達9-8(タックスアンサーNo.4414)
2.不動産を分けたときの譲渡所得税は?
■ 不動産の分与は「譲渡」とみなされる
土地や建物といった不動産を相手に渡した場合、それは「売却」したと同様に扱われ、譲渡所得税が発生します。
つまり、渡す側(分与した人)に課税されるのです。
- 課税対象となる金額は、「分与時の時価」になります。
■ 受け取った人は?
不動産を受け取った側は、「その時点の時価で取得」したと見なされます。
将来その不動産を売却したときには、分与を受けた日を基準として、
- その不動産を取得してから、売却する年の1月1日時点で5年を超えていれば → 長期譲渡所得
- 1月1日時点で5年以下であれば → 短期譲渡所得
と判定され、税率が大きく異なります(長期:20.315%、短期:39.63%)。
🔍 根拠法令:所基通33-1の4、33-9、38-6(タックスアンサーNo.3114)
3.まとめ|税務上の注意点
財産の内容 | 渡す側の税金 | 受け取る側の取扱い |
---|---|---|
現金や預貯金 | 原則:非課税(贈与税なし) ※過大または偽装離婚なら課税 | 非課税で取得 |
土地・建物 | 譲渡所得税がかかる | 分与時点の時価で取得したと見なされる |
4.税務上のアドバイス
- 財産分与は税金のかからない制度として設けられていますが、不動産の分与や過大な金額は慎重な検討が必要です。
- 離婚を控えている方や、不動産を伴う分与を検討している場合には、税理士など専門家への相談をおすすめします。