高額特定資産取得による消費税特例の適用制限

高額特定資産(1,000万円以上の棚卸資産や固定資産等)を取得した課税事業者は、その取得以後3年間、免税事業者の特例(免税点制度)および簡易課税制度の適用が制限されます。

対象は以下の3パターンです。

  1. 高額特定資産の仕入れ等を行った場合
  2. 自己建設による高額特定資産の取得(建設費累計1,000万円以上)
  3. 棚卸資産の調整措置を受けた場合

さらに、令和6年4月以降は、金や白金地金の仕入れが200万円以上あった場合も同様に、免税点制度や簡易課税制度の適用が制限されます。

また、これらの取得等が行われた場合、簡易課税制度選択届出書の提出も一定期間制限されます。

※なお、居住用賃貸建物の取得については、仕入税額控除の適用そのものが不可となっていますが、それでも本特例の適用対象にはなります。

この特例は、課税仕入れを通じた過度な消費税の還付を防ぐための実務的かつ合理的な措置だといえます。とくに、高額な設備投資を行って免税事業者に戻るような「還付目的の免税回避」を抑止する効果があり、制度の公平性維持に寄与しています。ただし、制度の適用・非適用の判定が複雑で、誤って簡易課税届出を出すと無効になる点には注意が必要であり、事前の税務相談や専門家の関与が望まれます。