同族会社の役員借入金を整理する
会社が社長から借りたお金は、社長の相続財産になってしまいます。
例)
A社の社長が亡くなった。A社の財務内容は次の通り。
資産:1000万
負債:1000万(全額、社長からの借入)
資本: 500万(全額、社長が出資)
∴純資産:1000万ー(1000万+500万)=▲500万
➡社長の相続財産は次のようになる
自社株(=資本):相続税評価額0円
貸付金(=社長借入):相続税評価額1000万円
会社の貸借対照表に役員借入金を残したまま社長が亡くなってしまうと、その役員借入金は社長の相続財産になります。
自社株の評価は下がるのですが、役員借入金すなわち貸付金が相続税を押し上げてしまうので、相続対策にはなりません。
(後継者以外の相続人が相続すると会社経営に支障が生じかねません)
よって、役員借入金は次のような方法で早めに解消することをお勧めします。
①役員報酬の減額:毎月の役員報酬を減らし、その減ったお金で社長借入を返済
②贈与:役員借入金を後継者に贈与
③債権放棄:役員借入金を社長が放棄
④デッドエクイティスワップ:役員借入金を資本金に振り替え
ただし、
①については、期の途中からは減額できない
②については、年間110万を超えると後継者に贈与税
③については、放棄と同時に会社に債務免除益が計上される
④については、債務超過だと会社に債務消滅益が計上される(可能性がある)
※③④で株価が上がると、他の株主に贈与税
といった注意点もありますので、長期的かつ計画的に行う必要があるのです。
(私も何度か苦い経験をしておりますので・・・)